英国ドラマをよく見ますが、さすがに英国は「ティー」がとても演出に欠かせません。
かなり考証に拘った物からアバウトなものまでいろいろですが、総じて日本のドラマよりこだわりが重厚で本格的であることは否めません。
ドラマを流しっぱなしで席を中座したときなど音だけで筋を追っても貴族の館か庶民の家か中産階級のフラットか家の中が見えるほどリアルな道具立てです。
慣れてくると馬車の音でもいろいろ分かります。「あ、田舎道からマナーに入ったな」とか。農家の庭先には砂利など敷いていません。
ドアの音がして、何歩で階段の足音になったらフラットだとか、焼き物で鍛えた耳が情報を拾います。
シャーロックホームズはグラナダテレビの制作のものが秀逸です。
ホームズたちががさつにガチャガチャ音を立てて扱う食器やティーカップはメイソンズのマンダレーです。「茶器屋の耳」にはロンドンの中間層の室内の音に正確に聞こえてきます。デパートや道具屋でお気に入りを急ごしらえした新興都市住民のイメージが随所に見られます。カーペットの使い方や額のかけ方などそのとおりです。
ホームズに負けない小道具の演出はポワロシリーズ。
メイソンズの使用も没落気味の20世紀田舎屋敷などで継承されています。
どう考えてもあの80年代までは「階層社会」の厳しいころに育った人たちの感覚がストレートに演出に生きているのだと思います。
ポワロではある回でブルーウィローにちなんだ殺人が起きます。
20世紀にはいって新興市民が喫茶店を開く夢を潰された復讐劇です。
貴族たちが18世紀から使い19世紀初頭の高級品だったウィロー。
庶民がいつかはと実現願うそれが100年たってという設定にすごいなと思いました。
ウィローはその後粗製乱造の歴史が長くなり、安物のイメージが浸透していきます。
しかし海外でそれなりの邸宅や、文化教養の高い家庭には必ずウィローが思い出のように置いてあります。
しかし、ウィローにも高級品の音と安物の音があるのです。
貴族の邸宅から響いてくるウィローの音は乾隆時代の私達景徳鎮の音です。
その耳で人気ドラマ、ポルダークを見て思いました。
18世紀のマナーで時代遅れのジャコビアン様式に暮らすポルダーク一族が
ホームズたちが使ったのと同じハンドル付きの石膏型形成の洋金装飾のティーカップ&ソーサをガチャガチャ言わせていたのです。
音だけでまたメイソンズだと分かりました。
英国も世代交代や移民が多くなったり昔のように細分に拘る人が減ったのだろうと
感じましたがどうなんでしょうか?
鉱山夫達のピューターのマグまではいい線だと思ったのですがマナー内部での詰めがいまひとつでした。
もしあなたが磁器の間を作りたいと思ったら、ぜひ私に相談してほしいです。
磁器の間で音楽を演奏したとき、音響が磁器の質で必ず替わります。