国際景徳鎮試験場

会員おしらせ

増沢塗との邂逅 ⑤ 出来ることから

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漆絵菊花文と同じ胎モデルのハイエンドポット

究極のサステイナブル工芸と言える日本の漆工芸。

豊かな山の循環の恵みだけで何百年も使い続けられる工芸の循環サイクルに皆さんに注目して頂こうと、まずはいきなり本物の漆器の丈夫さや扱いやすさをお勧めしてもお買い上げまでは難しいので磁器の茶器とおそろいになれば「漆器にも食指を伸ばしていただけるのでは?」そうも考えました。どうしても本物の漆器の世界は普段使いが敬遠されてしまう「価格帯」と「扱いにくさへの誤解」があって合鹿椀のブームなどあったもののお茶人とか料亭とかそういう特別なイメージが付きまといます。

そこで鴻海と試験場で開発した主力モデルのハイエンド絵付け用胎に漆絵の意匠保存を兼ねた「出来るだけ忠実な漆絵模様」を描き始めました。

分業景徳鎮においては(台湾土エリアは個数賃)契約期間賃金内でいくらでも作った方が単価が安くなります。主力のハイエンドシリーズの生産と売り上げに支えられて「社会貢献型の販売品」の質を上げて「胎の単価を下げる」ことで漆器と山の循環を守る活動への「売り上げによる活動資金」が増えます。誤算は漆絵の模倣が平塗りで絵付け顔料での再現が難しく絵付けコストは下がらないどころか慣れない仕事で時間がかかりハイエンドとひっ迫したこと。これは今後の課題。さらに平泉黄金文化を象徴して分厚い本金使用にしたため顔料の「金」の購入金額が金箔と比較にならないほどのハイコストになりましたのは本金の盛り上がりを指でなでていただければわかります。金の顔料は純金より高くつくことは純金+加工賃+名人のステータスですのでお分かりいただけるかと思いますが、全てにその最上級のものを使いました。

おかげをもちまして第一期緑の菊は販売分アウトレット分含め19年12月で完売いたしました。販売開始以来19年完売までのこれらの売り上げでいろいろなことが出来ました。

①まずは岩手県内で細々生産される貴重な素材二種を用いた漆器のサンプルを購入。

岩手県内で生産される最高級の浄法寺漆、及川氏の江戸以前と変わらぬ道具を使った民芸手法の堅牢な仕事が当節類を見ず、必ずや若い職人さんたちの今後の参考品になります。

それと岩手の麻。現在麻は許可がないと生産できないのですが、この麻を手紬で手織りした布を「布きせ」に使うことでウルシオールの高い浄法寺漆との組み合わせでとんでもなく堅牢な漆器が完成します。

この岩手黄金コンビを完璧に使いこなし使っている人が及川さんで最後なので今後の若い職人さんに工法より先に、まずは使い心地が全く違うことを知っていただくように試用できるサンプルとして「数」をそろえる必要がありました。及川さんもご高齢で仕事を「単体作品」に移行される中で椀など数をそろえることは時間との勝負で予算もそれなりにかかり景徳鎮が売れると及川工房に走るピストン購入が続きました。消えかかっている増沢椀、秀衡碗、正法寺椀など貴重な椀を揃えています。

「あくまでも工芸の売り上げで誰かの役に立つ」というコンセプトでありますのでとにかく地道に売り上げては買うの継続でした。

②若い職人さんに将来使って体感してもらうための器の購入が続く中で「復元秀衡碗プロジェクト」の作品群を二点失ったほか全て購入できたのも貴重な岩手工芸の至宝保存という観点でよい仕事ができたと思います。会員他、お買い上げの皆様には未来への投資にご協力いただき感謝いたします。

③更に売り上げからできたことは、試験場所有の宋代から清代の漆器の修復が国宝と同じ浄法寺漆と中国漆を使って行われたことでした。これはいずれ皆さんにご披露できます。

今後は出来る限りの購入を継続しながら、それらを実用、展示、職人、バイヤー研修、宿泊できる会場の購入整備や漆の植樹支援などに向かいたいと思っています。