そもそもこの絵の正体は古い時代からのロシアの冬がテーマ。移動派でもチャイコフスキーでもいい。晩秋から長い冬の暗い屋内生活の家族との親密な暮らしの距離感とペチカの温もりと光がそこにはある。間接的にシクラメンだが、長い冬の夜の家族がテーマ。昨日から岩手もストーブを使い始めた。石臼でひいたそば粉をこねて焼いて夜長を過ごす。
絵付けの人は、周さんでもいつも注意するのだが、ただお花をきれいい描こうとする。
この画家は、花を描いて家族への思いや育ちを表現している。
花の向こうに人の暮らしが描けないと合格点ではない。
この絵は見た瞬間気に入って買った。ただ花を描けばいいのではない良いサンプルになる。
極めて伝統的なロシア的な詩情に横溢しながらも国際都市の都会的な洗練を見せ、何気ないフラワーポットの質を見ればどう見ても革命後の農村から出たものではない。とりわけ顕著なのがソ連時代に無い19世紀のにおい。興味津々で即決で買ってから調べた。
さもありなん、画家の父親は建築家、母親は彫刻家で名をはせ、父親と母の姉妹がA・トルストイの長編小説「姉妹」のモデルになっていた。
抑々スターリン賞を獲得したこの作品は本来の貴族層のトルストイが吹き荒れる社会主義の嵐の中で打ち立てたもので、その評価に至るまでも旧上流階層なりの紆余曲折があり、骨の髄まで農民や労働者でない人物独特の19世紀のロマノフ朝の気配に彩られたものであった。
だいたいぱっと見シクラメンと言うことでスルーされてしまうこの手の絵ですが、絵の向こうに見えるものがまだまだ広がってきます。